献辞と弁当の因果『キュレーターの極上芸術案内』

初校に赤字を入れていただき、再校は来週というとき
著者に「献辞をいれてほしいんだけど」
と言われて、はたと困った。

すぐに思い出すのは森谷延雄『これからの室内装飾
見返しがショッキングピンク、いくつものイラスト入り
小扉があってとても楽しい、かなり厚い本。
献辞は大きな文字で「ユウチャンニ、アゲル。」
(ユウチャンとは、夭逝した息子さんである)

翻訳本では、よく献辞をみかける。
森谷ほど大がかりではないつくりの小さな本でも、
さり気なく、うまくすわっていることが多い。
いま読んでいる『理不尽な進化』は翻訳ではないが、
「マルティナ」に捧げられている(なんと愛犬!)
しかし、『キュレーターの極上芸術案内』には
まったくその「すき間」がないのだ。
四六判、256頁、シロページなし。みっちり。。。

数人でビールを飲んでいたあるとき、
某協会の理事長が弁当を語り出した。
「弁当は、すき間があってはダメなんですよ。
 何でもいいからすき間を埋める、それが極意です」
彼はしょっちゅう、小学生の娘さんのお弁当を
こしらえているらしい。
お弁当のすき間を埋める仕草が堂に入っている。

著者の新見先生は
「さしずめ世界でいちばん偉い食いものは、日本の
〈お弁当〉とアメリカのサンドイッチと信じている」
と書いておられる。すき間がないのは美味しい証拠、
お弁当みたいな本でしょ、ということで、献辞は
・・・どうぞお手にとってご覧くださいませ。
[編集:ハムコ]

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