夏はどこへいったのか

ずつと足踏みして海上に停滞していた台風五号が室戸岬をかすめて和歌山に上陸したようです。今日は朝から生暖かな強風が吹いてなんか風の音がすごい。五号がずっと停滞していたからずっと梅雨のような天気が続き、いったい夏はどこへいってしまったのか…と。この後、秋のように涼しくなる気がする。

その秋に、『芸術の不可能性 瀧口修造 中井正一 岡本太郎 針生一郎 中平卓馬』という本が出ます。著者は芸術文化学科の高島直之先生です。
いまカバー、帯のデザインを決めてます。デザイナーはこれまでもお世話になっている寺井恵司さんで、かっこいいデザイン案が届いて楽しくてしょうがないです。

瀧口修造が『超現実主義と絵画』(著者はアンドレ・ブルトン)を訳出したのは1930年。そこから、中平卓馬が精力的に活動した1970年後半までの約50年間の、日本における前衛芸術受容の困難と屈折を社会事象とともに丁寧に説き論じた本です。

前衛芸術が生まれたのは、19世紀末から20世紀にかけてのドイツ動乱、ロシア革命、第一次世界大戦のさなかでした。それまで世界を統べていた(と信じていた)秩序が壊れ、多くの人が「真に現実的な現実性」を求めた時代でした。

第二次世界大戦前夜、シュルレアリスムを言挙げした瀧口が福沢一郎とともに特高に検挙されるという事件が起きます。
そこから東京オリンピックを経て大阪万博へと高度成長期まっただ中の日本で、瀧口、中井、岡本、針生、中平の五人はなにを考え実践したのか。

そういえば2020年に東京オリンピックが、さらに大阪万博をもう一度という機運もあるようで、いまになってというか、2017年のいま読んでこそ見えてくるものがあると思います。

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去年の夏前のテイカカズラです。今年の忘れものはこの暑い暑い夏です。t:eehも台風5号に負けず滞らせているものがあります。気ばかり焦ってなかなか前に進めない夏なのである。
編集:t:eeh

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