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『石元泰博-写真という思考』刊行記念トークイベント 満員御礼

『石元泰博―写真という思考』の刊行を記念して、著者・森山明子さんと写真家・石元泰博さん、建築家・内藤廣さんによるトークイベントが、去る5月29日(土)青山ブックセンター本店にて開催されました。定員120名のところ、来場者は144名! 満員御礼ありがとうございました。

トークイベントは、石元さんの作品119点のスライドショーからスタート。透過光に浮かぶ<黒暗淵から立ち上がる銀塩写真>に、会場が酔いしれた後、石元さんのプロフィール紹介に続いて「写真と写真集の理想」という本題へ入っていきました。
とりわけ話題を集めたのが写真集『シカゴ、シカゴ』(美術出版社、1969年)について。内藤さんは「ほとんど真っ黒の写真で、自分のみてきたシカゴという街と違う印象をもちました。都市の陰翳、乾いた都市というものが出ていました」とコメント。この写真集刊行前の1962年に開催された展覧会の会場デザインをしたのがデザイナー杉浦康平さん。『石元泰博―写真という思考』の造本にもたずさわっていただき、会場で突然の指名を受けて「石元さんの写真は厳格。修行僧のような石元さんが撮った写真は完結していて、いっさい切る(トリミングする)ことはできませんでした。石元さんは、シカゴの街のデータ、人口やゴミの量など数値をもってきてくれて、それを展覧会ではキャプション(写真説明文)にそのままいかしました」と、当時のエピソードを披露してくださいました。
内藤さんはまた「石元さんの写真は戦後そのもの。都市、人、建築に対し、厳格で容赦ない。写真集にする際、それを引き受けられる人がなかなかいなくなってきた。石元さんは、モノをみるとき、対象に迫るとき、本当に鬼気迫るものがあるんです」と語ってくださいました。
話題は進み、「劇的な夕焼けも入道雲も、月光の桂離宮も撮らない」という石元さんに、著者の森山さんは「侘・寂」についてどう考えるか問いますが、石元さんは「ちょっと考えさせて」と、その回答は持ち越しに。また「ニューバウハウス(インスティテュート・オブ・デザイン)が有名なことは日本に帰って知った。入学の際、ポートフォリオを観てくれたのがハリー・キャラハンだったんだよ」というお話もサラリと語ってくださいました。石元さんの終始、飄々とした語りで、会場はあたたかな笑いに包まれることしきりのトークイベントでした。

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[ 2010/6/3 更新 ]

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