「アートの終焉」以降に存続するアート
新しさの終わりから批判的に脱却するために
いま、私たちは何を観るべきか
アートにおいて「新しいことをするのは不可能である」と言われてから久しい。ゲストキュレーター・石川卓磨は「新しさ」を追い求めるのではなく、「新しさ」をつくり出す開発という概念自体を批判的に再開発する試みから、「開発の再開発」という企画を立ち上げた。8組のアーティストやコレクティブは、それぞれが歴史や方法に関わる研究・実験的活動やコンセプトを持ち、私たちに「開発の再開発」とは何かを問いかける。
【掲載作家】
平山昌尚、近藤恵介、Sabbatical Company、松平莉奈、奥村雄樹、片山真妃、大石一貴、Multiple Spirits
■石川卓磨(イシカワ・タクマ)[編者・執筆]
1979年千葉県生まれ。美術家・美術批評家。芸術・文化の批評、教育、製作などを行う研究組織「蜘蛛と箒」を主宰。近年の主な論考に「【連載】クリティカル・シーイング:新たな社会への洞察のために#1- #7」(Tokyo Art Beat、2023-25年)、「パーティーの後で」『中﨑透 フィクション・トラベラー』図録(水戸芸術館現代美術センター、2022年)、「寄生し、介入する 旅するリサーチ・ラボラトリー評」『丸亀での現在』図録(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2022年)、「アフリカ系アメリカ人として生きる「怯え」と文化的混血性。ラシード・ジョンソン「Plateaus」レビュー」(Tokyo Art Beat、2022年)など。
■gallery αM(ギャラリーアルファエム)[編者]
1988年より武蔵野美術大学が運営するノンプロフィットギャラリー。ジャンルを問わず質の高い表現と可能性を有するアーティストに作品発表の機会を提供すること、社会に斬新な価値を発信できるキュレーターに展示企画の場を提供すること、この2点をコンセプトとしてゲストキュレーターによる年間の企画展示を開催している。
登録情報
編者 | 石川卓磨・gallery αM |
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執筆者 | 石川卓磨・塚田優・杉浦央子・中島水緒・吉良智子・村山悟郎・大岩雄典・青柳菜摘・きりとりめでる |
ISBN | ISBN978-4-86463-176-1 C0070 |
体裁 | B5変型 172頁 |
刊行日 | 2025年07月30日 |
ジャンル | 美術/芸術理論 |
目次
vol.1 平山昌尚:ニース/塚田優「「グラフィック的な線」と未完了な問いとしての「芸術家の生」」
vol.2 近藤恵介:さわれない手、100年前の声/杉浦央子「応答関係としての線」
vol.3 Sabbatical Company:Sabbatical Companyの宣言エクササイズ/中島水緒「言葉が先か、エクササイズが先か」
vol.4 松平莉奈:3つの絵手本・10歳の欲/吉良智子「縄の向こう側を忍耐強く想像し思考する」
vol.5 奥村雄樹:我を忘れる身構えの手解きの跡形(我々は数多の知る由もない先行きの面影に湧き立つ)/村山悟郎「遊戯痕─Task Traces」
vol.6 片山真妃:αMと遠近法/大岩雄典「巡礼者の血痕」
vol.7 大石一貴:消滅 II/青柳菜摘「彫刻観察仲介人─オートスコピーとして」
vol.8 Multiple Spirits:いつでもルナティック、あるいは狂気の家族廃絶/きりとりめでる「政治的な鬱、過去の慰み、薄皮千枚の肯定」
石川卓磨「開発の多元性と群島としての展覧会」
関連書リンク
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