『博物館資料の臨床保存学』
上野の東京国立博物館は、いつも賑わっているイメージ。特に人気のある展示の時などは、入り口前に長蛇の列ができることも珍しくありません。そんな賑わいの陰で日夜行われているのが、収蔵されている文化財資料の保存修復作業です。文化財の保存修復というと、その文化財がつくられたときの姿に近づける、要は見た目をよくすることだと考えがちですが、現在、文化財資料保存の現場ではそのような考え方は退けられているようです。では現在の資料保存の基本的な考え方とはどんなものか。簡単にいってしまえば「よりオリジナルに近い形での現状維持」となるのでしょうか。過去に行われた過度の「介入」と見られる修理跡などがある場合は一度その修...