
写真家・中平卓馬
写真家・中平卓馬を論じた原稿が手元にあり、細かな原稿整理をしています。「車窓からなにげなく見る風景のように、なにも考えるわけではなくぼんやりと(略)こまごました事物を見るようにカメラは世界をそのまま捉えることはできないのだろうか」。2012年に刊行された東京国立近代美術館編『美術家たちの証言』に掲載された中平卓馬の言葉です。自我や意識を離れたところで世界を表出するって、そんなこととてつもなく不可能な気もしますが、でも写真ならばできるような気もし、だけどそれってとても危険な賭けなんじゃないのと思います。瀧口修造は写真を撮る行為を通してシュルレアリスムを論じたわけですが、中平卓馬はその実践に身を賭...