田中功起/震災/カフカ

前回のブログ当番を忘れ、今日こそ忘れまじ・・・

田中功起『必然的にばらばらなものが生まれてくる』は、
もちろん2013年のヴェネチア・ビエンナーレの話から
はじまるわけで、実は東日本大震災にその起点がある。
世にはたくさんの「震災本」があり(恐ろしいことに
市場では「飽きられた」とも言われており)
このカラフルな本に、そんな芯があるようには
とうてい見えないだろう。

東日本大震災の科学』は、東京大学の地震研究所・
工学系研究科・情報学環のゼミナールをまとめた書籍。
「意外なものを読んでるね」と言われそうだが、
この夏の大学出版部協会の研修会で取り上げられるため、
手にした次第。いわゆる「超域」のゼミのまとめとして、
編集の手腕に学ぶところが多くある。
そして、「震災本」を無意識に避けていたことにもここで
気がついた。

もう一冊、おなじく研修会に登場するのが
カフカらしくないカフカ
高校時代に「変身」を読んで以来、おそらくカフカを
手にしてこなかったにもかかわらず、
カフカが生身で迫ってくる。
まるでミステリーを読み進めるかのような愉しさ!

こうして夏は終わってしまうのだなぁ・・・
[編集:ハムコ]

コメント

  1. t:eeh より:

    しかも手にすると驚くほど軽くて柔らかい。だけど譲れない芯があるのです。『必然的にばらばらなものが生まれてくる』のことですが。『カフカらしくないカフカ』は夏が終わる前に読む!!

  2. ハムコ より:

    『カフカらしくないカフカ』の見事さは、「引用」の使い方にある。
    的確な、最小限の引用。これは原典を精読した著者にしかできない、
    研究者の鮮やかな「手口」であって、じつにお見事なのです。
    「引用」とは、こうあるべきお手本としても、読み応えがあるよん。