3月のクリスマスローズ

啓蟄過ぎて6日にもなろうかというのに、いっこうに暖かくならない。
東京は朝からずっと冷たい雨が降ってます。
そのせいか、いつもびっくりするくらい大きな声で鳴く鳥(灰色でギョーッとかギエーとか鳴く奴です)の声がまったくきこえなくて、ちょっとドキドキしてました。
5年前の3月末、鳥の声がきこえない時期がありました。あの季節を思い出して「鳴いてよ…怖いから」と思ってた。
一瞬薄日が射したように明るく思えたお昼前、高々と「ギエーッ」という鳴き声が響きました。ほっとしました。

 
クリスマスローズです。
いつもこの季節に大地に祈りを捧げるように低い枝から咲き始める椿は、どういうわけだか去年の11月から咲き始めていま中段に名残りの花一輪を残すばかりで、そのかわりにクリスマスローズが咲いてます。この花も地に向かって深々と頭を垂れて咲きます。

ただ月日の積み重ねがある。今日1825日目の朝が来ました。明日1826日目の朝が来ます。重ねて来た日々の重さも痛みも人によってまったく違うけれど、鳥の声のない静かな春を胸に残して、そのまま漂流しているような気がします。

捲まず撓まず屈託なく、あたたかな春を信じて待つ窓辺の猫です。ほんとあっぱれ。かくありたいもんだと、いっつも猫を見るたびに思うわけです。
猫は春を待つ。私は遠くにいる大切な友人に春を待つ手紙を書くのだ。

編集:t:eeh

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