『日本画と材料——近代に創られた伝統』

日本画企画本も印刷所へ入稿を済ませ、
ただ今白焼き確認、表紙・ジャッケット等の色校正中。
まさに最終段階です。

各方面での予約受付もはじまったことなので、具体的にご紹介。
書名は『日本画と材料——近代に創られた伝統』。
著者は日本画家にして、研究者でもある東京藝術大学大学院准教授の荒井経先生。ムサビでは非常勤講師として、日本画学科で指導にあたられています。

日本画というと思い浮かべる「岩絵具」や「和紙」などの材料。それら日本画のアイデンティティともされる材料が、日本画が誕生した明治以来、現在に至るまでどのような変化を遂げたのか、またその変化の理由は何なのかを探ることを通して、あらためて「日本画とは何か」を考えます。

日本画の祖、狩野芳崖が描いた《仁王捉鬼図》に対する蛍光X線分析をはじめ、昨年秋の大規模な展覧会にあわせて行われた菱田春草作品の調査など、実作品の調査に加え、文献資料を基にした材料史的研究を通して、日本画材料の変遷を辿りながら検証。
さらには、韓国画や中国画など東アジア諸国の国号絵画の調査、日本画が独特な形で伝わった中国の岩彩画の調査などから、日本画を捉えなおす新たな視点の可能性も示しています。

その《仁王捉鬼図》にはなぜ西洋顔料が使われたのか、油絵のキャンバスのような継ぎ目無しの巨大な和紙はなぜ作られたのか等々、美術に留まらない日本の近代史とも絡んだ興味深い話題が満載。荒井先生の近年の研究を一冊にまとめたものではありますが、専門的な知識はなくともどんどん読み進められる内容です。

発売は、10月初旬。
ご予約、お待ちしています。
是非!

最後に、荒井先生が出品される展覧会の情報です。

第6回「三叉景」
出品作家:荒井経 及川聡子 園家誠二

2015年9月1日(火)- 11日(金)
11:00a.m.- 6:30p.m. 日曜日休廊

ギャラリー和田
〒104-0061 東京都中央区銀座1-8-8 三神ALビル1F  
TEL 03-3561-4207

(編集:凹山人)

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