エル・リシツキー

6月20日まで東京都庭園美術館でロトチェンコ+ステパーノワ「ロシア構成主義のまざなし」展が開かれていました。
それにちなんでというわけではなく、
造本装幀コンクールにちなんで2005年刊行の『エル・リシツキー 構成者のヴィジョン』(寺山祐策=編・デザイン)の紹介です。2006年第40回造本装幀コンクール審査員奨励賞を受賞しました。書影です。
978-4-901631-68-6
ちょっとこれではこの本の良さが伝わりにくいので、ぜひ書店で手にとってご覧ください。紙の質感と赤黒の配置、文字のウエイトと配置が素敵です。そしてさらに触感がいい。表紙はクロス装で、もうすぐ食べ頃の白桃のような手触りです。思わずなでなで愛でちゃいます。しかも裏表紙の内側には開けてびっくり、お楽しみ、のおまけつき。
装幀のよさだけではございません。
武蔵野美術大学 美術館・図書館が誇るモダン・タイポグラフィのコレクション満載です。これが実はすごいコレクションなのであります。リシツキーの絵本、ポスター、雑誌(USSRほか)はもちろん。ロトチェンコ、ステパノーワは言うに及ばず、マレーヴィチ、ジョン・ハートフィールド、シュヴィッタース等々、端折るのもおしいほど、当時の綺羅星のごとき作家の作品がズラッと並んでいます。
19世紀末から第一次世界大戦、ロシア革命、第二次世界大戦に至るあの短い間に、凄まじく大きなうねりが政治、思想、芸術を呑み込んで、何が起きつつあったのか。当時のポスターや雑誌のデザインを見ているだけで迫力とともに伝わってきます。勝手にお薦めの一冊コーナーでした。

編集:t:eeh

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