札幌:大学出版部協会夏季研修会2017(後半)

札幌で行われた大学出版部協会の夏季研修会、
2日目の午前中は珍しくフリータイム。
今回、研修会がメインであることは当然ながら、
イサム・ノグチ作品を見ることも
重要なミッションであることから、まずは
大通公園の西8丁目と9丁目の間にある
《ブラック・スライド・マントラ》を見に行く。
ハムコ、すべります!

石なのに、吸いつくような肌触り。
この滑り台は、かがまねばもぐれないような
穴が裏側に刳りぬいてあり、そこから階段を
あがって、くるりとすべりおりる構造。

暗い胎内から、明るい外の世界への誕生を
想起させる装置だ。
その後、北大植物園へ。
あまりの美しさに、言葉を失う。
そうだ、吟行という目的もあったのだが、
何もかたちにできないまま午後になる。

午後は、北大の櫻井義秀先生による講演
「大学における教養主義と大学出版のゆくえ」
なかなか売れない・・・いづこも同じ悩み。
「既刊書が売れないのは、企画の質が落ちて
いるからだ」との意見がズバッと出され、
グサッと突き刺さる。。。
大学の知をいかに社会に広めてゆくのか、
これに対しては弘前大学の足達薫先生から
イタリアの事例「アカデミズムと観光」が
コメントされた。
それまで隠されてきた事実が、
アカデミズム(美術史)による研究によって
拓かれ、「これは面白い!」と人々に興味を
抱かせる契機となったという。
90年代末からのイタリアのこうした傾向は、
アカデミズムが敷居を低くしたのではなく、
人々がアカデミズムのほうに歩み寄ってきた
好例だが、アートという領域ならではの事例
と言えるだろう。

そして3日目。
ついに憧れのモエレ沼公園へ。
ここはイサム・ノグチが計画し、彼の死後に
完成した公園。小さな山がふたつある。
ハムコ、のぼります!

山頂の、びゅーびゅー吹く風。
彼は、この風も含めて、彼の作品にしたのだろう。
この風を愛でる人が、12月刊行の『イサム・ノグチ
庭の芸術への旅』を手にしてくれますように。
新見隆先生、お盆は休まずにイサム・ノグチの
御原稿をよろしくお願いしますっ。
ジャケットのデザインが先にできましたよ!
[編集:ハムコ]

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