保田春彦先生のぼたん雪

彫刻家・保田春彦先生が20日に亡くなった。
「日経新聞に訃報が出ている」という友人からの
ラインを日曜日の昼過ぎに受けて、
あわててネットのニュースを見ると、月曜日の
12時半から告別式があることがわかった。
場所は大磯の教会。
月曜日の関東地方は雪になる、という予報が
早くから出ていたが、これは行かねばなるまい。

保田先生を頻繁に訪ねていたのは、
『保田龍門・保田春彦 往復書簡 1958-1965』
をつくっていた2013年の春から秋にかけて。
書簡はプライベートなやりとりなので、
わからないことも多い。そこで、あらかじめ
質問を箇条書きにして手紙で送り、
平塚のショートステイ先におたずねして、
その質問に答えていただいた。

保田春彦は「怖いセンセイ」で有名だった。
そんな怖いセンセイに、微細な質問をするのは
憚られたが、私に対してはどういうわけか、
いちども怒ることもなく、ニヤリと笑ってOKを
出したり・・・だんだんと私も図々しくなり、
写真を見ながらついうっかり
「お父様の龍門先生のほうがずっとハンサムね」
と言ってしまい、しまった!と思ったのだが、
春彦先生は笑いも怒りもせずに「そうだよ」と
静かにうなずくようなこともあった。

出棺には、賛美歌「神ともにいまして」が響く。
「また会う日まで また会う日まで」と美しい歌声の
外は、雪景色。しかも大きな大きな雪が、強い風に
煽られて、斜めに、直線上に吹雪いている。
ぼたん雪は、静かにおりてくるものだと思っていた。
春彦さん、やりすぎですよ。
なんだか彼が大笑いしているような気がした。
[編集:ハムコ]

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