「タマビとムサビはちがいますか?」

某日、掲載図版に頭を悩ませていたところに来訪者ありき。
編集室には珍しくハムコひとり。
見知らぬ小さなオジサンが遠慮がちに
「ここは、タマビの出版社ですか?」

「顔あらって出直してこい!」と追い返すところだが、
膨大なる図版を前に途方に暮れていたために
「ここは、む、ムサビなんですけど」と返事をすると、
オジサンはほんとうに困った顔をして、ますます小さくなり
「タマビとムサビはちがいますか?」と云った。

いつもだったら「あなたね、いいですか、ここをご覧なさい」
と『武蔵野美術大学のあゆみ』16ページを見せるところだ。
たしかに、タマビとムサビは昭和10年夏ころまでは
帝国美術学校というひとつの学校だったの、でもね、いまはね、
違うのよね・・・ハッ、我に返るハムコ。
「どのようなご用件でしょうか」←オトナの対応

よくよく聞いてみると、そのオジサンはハローワークの人で、
最近は求人が少ない、募集の際にはハローワークにも
ファクシミリで知らせて欲しい、と黄色い求人募集用紙を
置いていった。帰り際にはご丁寧にも
「その紙はコピーすると何回でも使えます」と云い残して。

あのオジサン、誰かに、似てるなぁ。
うーん、誰だっけ?

・・・そうだ、わが主人公、ノルシュテイン描くところの
アカーキー・アカーキエヴィチ!
驚いた。きみはゴーゴリの『外套』のなかだけじゃくて、
日本にもいたのか、アカーキー!
だめだよ、勝手に図版から抜け出しちゃ・・・
[編集:ハムコ]

コメント

  1. 手羽 より:

    営業の人が「美大といえばやっぱりタマビさんですしね」とおもいっきり
    名前を間違えたことはよく経験しましたけど・・これはすごい・・。
    というか、この人は飛び込みでやってきたってことなんですね・・・。