沖縄県産本に学ぶ

大学出版部協会の編集部会では4月17-19日にかけて
那覇で春季研修を行いました。総勢23名!
沖縄には多くの版元があり、しかもそれがたいそう盛ん
らしい、ぜひとも現地で・・・2年がかりで計画した
研修会の初日はシンポジウム「豊饒な出版文化を求めて」。
「沖縄県産本」とは、沖縄で出版された書籍の総称です。
沖縄の版元から3名の方々をゲストに、出版事情、
現状と課題をうかがいました。

敗戦から72年の返還まで、本土からの書籍は「輸入」、
返本は「輸出」、いずれもコストがかかるために
書籍の「地産地消」の知恵が生まれたとのこと。
(ちなみに沖縄では「知恵ある人」のことを「ジンブナー」
というそうで、宇田智子さん『市場の古本屋ウララ』を
御参照あれ。ボーダーインク、2013年)
94年に「沖縄県産本ネットワーク」を発足。
約20社がネットワークで活動し、年に1冊刊行の版元も
合わせると60社ほどになるという!

県産本の嚆矢は1950年『鉄の暴風』(沖縄タイムス社編著)
65年までの米軍の言論統制、本土からとつぜんやってくる
「沖縄ブーム」に翻弄されつつも、知恵ある人々の文化は
地産地消により受け継がれてきた。しかし、今日では
県産本・県外本の隔てはほとんどなくなり・・・
ある版元はここ5年ほど売上がかつてほどにはなく、
ある版元は組織の簡素化を求められ、
ある版元は在庫管理・流通に悩み、
・・・いづこもおなじと肯きながらも、
那覇のやわらかな「気」につつまれていると
「なんくるないさ〜」という言葉が浮かんでくるのでした。
[編集:ハムコ]

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