猫詩集

また猫か、という肩身の狭いお題なのですが。
T.S.エリオットの猫詩集という本がありまして、知らなかったのですが、これを舞台化したものがミュージカルの「キャッツ」なんだそうです。t:eehが持っているのは、大和書房から刊行された北村太郎さん翻訳版です。

猫には三つの名前がいる、という詩があって、うろ覚えですが(本棚のどこかに埋もれて探し出せない…)、

一つはタマとかミケとか誰でも知っている普通のありふれた名前、二つ目は誰も知らない、だけど猫だけは知っているとても哲学的な名前、
三つ目は誰も知らない猫も知らない名前で、猫はその名前のことをずーっと考えているんだよ

というような内容でした。で、当時一緒に暮らしていた猫に三つの名前をつけた。
一つ目は「ニヤ」。ほとんど「にゃん」としか呼ばなかったのですが猫病院の診察券はちゃんと「ニヤ」でした。
二つ目は「パルマトゲコ」。夜の霧を瞳に溜めてそれを舐めて生きるというナミブ砂漠に住む生きものです。
三つ目は、これはさすがにいまだに内緒である。

猫はときどき哲学者のような、悟りを開いちゃったえらいお坊さんのような達観した顔で遠くを見ているので、ならばたしかに三つの名前がいる、と思ったのですが、いま一緒に暮らしている猫はたった一つの名前だけです。

じーっと一箇所を見つめているときはたいてい虫を探している。身じろぎもせず、でも丸い背中がひたすら主張している気がする。
今さっきそこに虫がいた。今いなくなっちゃったけど、そのうち出てくる、だから待ってる、出てこい虫。

シンプルに屈託なく生きる猫にはたった一つのたいせつな名前だけで充分かなと。

編集:t:eeh

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