始まりの季節

始まりの時期がいくつもある、というのはいいものです。お正月、春の始まりの立春、入学式とか新学期とか、春はいくつもの始まりの季節なのである。そして年度という区切り。2023年4月1日からは新しい年度だ。始まりがいくつもあってややこしいのだが、このややこしさがいいのだと年をとるとそんなふうにも思う。

始まりの季節に、人々はおめでたい言葉を重ねます。たとえばお正月。お祝いのおせちを目の前にして、曰く、鯛はめでたい、カツオは勝魚、ブリは出世魚、海老はともに腰が曲がるまでの長寿を祝い、昆布はよろこぶ(関西ではこぶと言う)、レンコンは先の見通しがきくように、クワイは芽が出るからめでたい(鯛といっしょやん、ダジャレやん、とは言わないように)、田作りは子孫繁栄と五穀豊穣を願い、黒豆はまめまめしく元気で働けるように…云々かんぬん。

子供の頃は「そんなことより早くご馳走食べたい!!」と内心で文句たらたらでしたが、この口上は、祝いの言葉を重ねて家族の幸いと健康を願う「おまじない」だったのだと今にして思う(父よ、親心も知らずごめんなさい)。で、私も始まりの季節に何か祝いの掛詞をと思うのだが、気の利いたものが全く浮かばないので一番めでたそうな漢字を並べてみました。寿寿寿寿寿寿寿寿寿寿寿寿寿寿寿寿。みなさまのよき未来を。出版局もまた新しい年度へと船出するのである。

編集:t:eeh

今年の桜は咲いてすぐ雨続きでした。雨の桜は風情があるのでt:eehは嫌いではありません。3月25日土曜日。寒い仲春の、武蔵野美術大学美術館・図書館前の桜です。

そしてこれは新しい門出にといただいた心尽くしの花束。送ってくださった出版局の皆さま、ありがとう。

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